【ご相談内容】 ばね初心者 2020/4/3(金) 20:26
同じバネ4本である重さを支えるとして、重心から各バネまでの距離がそれぞれ異なる場合、バネのたわみ量はどのように計算すれば良いでしょうか。ご教示ください。
【返答】 ばねっと君 2020/4/16(木) 18:45
ばね初心者様、
ご質問いただきありがとうございます。
計算で求めるにあたっては、3点支持はりの反力を求める場合と
同様、不静定構造であるため、力のつり合いとモーメントのつり合いだけ
では、解を求めることができません。
また、一般解を計算して求めるには、大変であるため示すことができません。
ご了承願います。
そのため、導出までの考え方と必要な式を示します。
計算するにあたって、構造のイメージを示します。
変形しない限りなく薄い板が、任意の位置に配置された同一形状の
ばね4本で支持されて固定されているものとします。
板の重心は、ばね4本の支点を結ぶ四角形の中に存在するものとします。
まず、力のつり合いの式とモーメントのつり合いの式を導出します。
ばね4本をS1~S4とし、板の重心をCとします。各ばねと重心の平面上での
座標(x,y)を設定します。各座標は、既知な値とします。
S1(x1,y1)、S1(x2,y2)、S3(x3,y3)、S4(x4,y4)、C(x5,y5)
ばね4本の各反力をF1,F2,F3,F4、重心にかかる荷重をWとします。
ばねの反力は、未知な値、重心にかかる荷重は、既知な値とします。
これらより、各つり合いの式が導出できます。。
力のつり合いの式
W=F1+F2+F3+F4 ・・・①
X軸回りのモーメントのつり合いの式
W・y5=F1・y1+F2・y2+F3・y3+F4・y4 ・・・②
Y軸回りのモーメントのつり合いの式
W・x5=F1・x1+F2・x2+F3・x3+F4・x4 ・・・③
以上がつり合いの式になりますが、未知な値のばね反力4つに対して
関係式が3つであるため、ばねの反力を求めることはできません。
つぎに、ばねの変形を考慮した式を導出します。
任意の位置に配置されたばねは、それぞれのばねがたわむことで、
板の自重を支持していることになります。
そこで、板が水平な状態からのばね4本のたわみ量をz1,z2,z3,z4、
ばね定数をkとします。
ばねのたわみ量は、未知の値、ばね定数は、既知の値とします。
これらより、ばねの反力とたわみの関係式が導出できます。
F1=k・z1、F2=k・z2、F3=k・z3、F4=k・z4 ・・・④
さらに、最初の構造のイメージを利用して式を導出します。
変形しない限りなく薄い板をそれぞれのばねがたわみ支持しているため、
任意の方向に板が傾いています。
しかし、板は変形していないため、各ばねの支点は、傾いた板の
同一平面上に存在することになります。
ここで、空間ベクトルにおいて、4点が同一平面上にあるときの条件が
役に立ちます。
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共面条件(4点が同一平面上にある条件)
原点をOとして、同一平面上の4点をA,B,C,Pとした場合、
(OP→)=s(OA→)+t(OB→)+u(OC→) 、s+t+u=1となる実数s,t,uがある。
ただし、A,B,Cは一直線上にないものとする。
※文章表記上、ベクトルが正しく表記ができないため、
(OP→)をベクトルと認識してください。
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この条件を利用するため、ばねの支点の空間座標を最初に設定した
座標(x,y)とばねのたわみ量より、設定します。
S1(x1,y1,z1),S2(x2,y2,z2),S3(x3,y3,z3),S4(x4,y4,z4)
また、平面上の関係を表す際に使用する各係数をs,t,uとします。
s,t,uは未知な値です。
これらより、以下の式が導出できます。
x4=s・x1+t・x2+u・x3 ・・・⑤
y4=s・y1+t・y2+u・y3 ・・・⑥
z4=s・z1+t・z2+u・z3 ・・・⑦
1=s+t+u ・・・⑧
※行列表記の方が見やすいかと思いますが、文章表記上できないため、
ご了承ください。
ここからは、随時計算してもらう必要があります。
⑤、⑥、⑧式より、各ばねの座標(x,y)は既知な値であるため、
s,t,uの値を決定することができます。
⑧式より、
u=1-s-t
となるため、これを⑤、⑥式に代入して未知な値がsとtだけになり、
その連立方程式を解きます。これにより、sとtが求まります。
求まったsとtを⑧式に代入してuを求めます。以上でs,t,uが既知な値と
なりました。
ここからは、各ばねの反力であるF1~F4を求めます。
④式より、これを変形すると以下の式になります。
z1=F1/k,z2=F2/k,z3=F3/k,z4=F4/k ・・・⑨
⑨式を⑦式に代入すると、
F4=s・F1+t・F2+u・F3
0=s・F1+t・F2+u・F3-F4 ・・・⑩
となります。
ここで、ばねの反力に関する式を整理します。
W=F1+F2+F3+F4 ・・・①
W・y5=F1・y1+F2・y2+F3・y3+F4・y4 ・・・②
W・x5=F1・x1+F2・x2+F3・x3+F4・x4 ・・・③
0=s・F1+t・F2+u・F3-F4 ・・・⑩
未知な値であるばねの反力F1,F2,F3,F4の4つに対して、関係式が4つで
あるため、これを解くことで、ばねの反力を求めることができます。
最終的には、ばねのたわみ量を求めることが目的であるため、
求めた反力を⑨式に代入すれば、ばねのたわみが求まります。
ばねの反力を求めるにあたっては、既知の値が全て数値として
分かっている場合は、順々に未知な値を消していって、手計算でも
解けるかと思います。
そうでない場合は、連立方程式を行列表記し、逆行列を用いた方が
よいかもしれません。
【返答】 ばねっと君 2020/4/16(木) 18:53
ばね初心者様、上記に関連して、Web上で関係のありそうな
資料がありましたので、URLを記載します。
資料内のページ表記で、51ページと1002ページです。
※ご質問と回答は一般公開されますので特定される内容には十分お気をつけください。