【ご相談内容】 ばね初心者 2018/6/15(金) 8:48
お世話になります。
コイルばねの応力のことで、ご質問させてください。
「コイルばねのショットピーニング方法と疲労強度の研究」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hpi1972/38/4/38_4_216/_pdf/-char/ja
という論文の中で、SUP7で、線径;φ12.5,コイル平均径;φ110,有効巻数; 5.39,
総巻数; 6,89,自由高さ; 440mm,ば ね 定 数;33.3N/mmの圧縮コイルばねで疲労
試験を行ったとあり、その時の応力条件が735±441[MPa]とあります。
最大負荷として、1176[MPa]になるかと思います。
線径が12.5のSUP7なので、許容応力は 御社のページにも説明があるように
730[MPa]程度で、さらに安全率を掛けると、もっと小さくなると思うのですが、
実際のバネでは1176[MPa]もの応力が発生していて、一発では破壊しないと
いうのが、うまく理解できません。
他の資料を見ても、車両用のコイルばねなどでは、設計応力が1100[MPa]
程度であるとの記述もあり、線径が10[mm]以上だと思うので、JIS B 2704の
許容ねじり応力よりも、随分大きいなぁ、という印象です。
ばねに関しては素人なので、何か見落としている、あるいは勘違いしている
のかも知れませんが…。
実際のコイルばねが、JISの許容ねじり応力よりも大きな応力で使用出来ている
ことの理屈を教えて頂けますと幸いです。
宜しくお願い致します。
【返答】 ばねっと君 2018/6/15(金) 17:18
ばね初心者さま
ご投稿ありがとうございます!
記載頂いている「コイルばねのショットピーニング方法と疲労強度の研究」論文にも
記載がございますが、許容応力を定める際には、材料の引張強さが重要になってきます。
(引張強さなどの機械特性が高ければ、疲労強度が向上します)
弊社HP記載の情報はJIS 規格を参考にした資料になっておりますが、同論文では高強度材の
微小クラックによる感受性を低減させるため、ショットピーニングによる疲労強度の向上を
研究されたものですので、材質はSUP7ですが、焼戻し温度を低く設定し、あえて引張強さを高くした
ものであります。
したがいまして、引張強度が向上した分、最大応力と応力振幅が高く設定されています。
ご指摘されている自動車の懸架ばねも、高強度材が使用されているので、応力設定も高くなっています。
また、許容応力を超えて圧縮した際に、一発で破壊しないとありますが、破壊に至らないとしても
塑性変形を起こしたり、目視で確認できないクラック(破壊)が生じている可能性はあります。
その後の繰り返し動作によって、微細クラックが広がり、折損に至るという流れです。
よろしくお願いします!!
【返答】 ばね初心者 2018/6/15(金) 18:17
ご丁寧な回答を頂きまして、ありがとうございました。
要約しますと、
熱処理によって、JISが規定している引張強さよりも、大きな引張強さ
の材料を使っているから
ということになると理解しました。
そうしますと、あと1つだけ知りたいことがありまして、熱処理によって、
どの程度の引張強さになるのか?ということについての公知の資料等は
あるのでしょうか?
そのようなものがあるのであれば、それを教えて頂けないでしょうか?
もしくは、それらはいわゆる企業秘密的なもので、特に標準等は無い、と
いうことなのでしょうか?
何度も恐縮ですが、宜しくお願い致します。
【返答】 ばねっと君 2018/6/15(金) 18:23
ばね初心者さま
材質よって、熱処理条件に応じて、目安の特性はあります。
資料については、JIS適合材であれば各JISハンドブックなどにも記載がございます。
その他、メーカー規格材や特殊な熱処理をした場合の特性については、各企業の
技術資料として管理されていると思います。
当社も材質毎に熱処理条件とその特性は、技術資料として管理しています。
宜しくお願いします!!
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