ご質問いただきありがとうございます。
ご質問に記載いただいているとおり、硬鋼線、ピアノ線やオイルテンパー線、ばね用ステンレス鋼線で
コイリングしたばねは、テンパー前後でコイル径が変化します。
硬鋼線、ピアノ線やオイルテンパー線がコイル径が小さく、ばね用ステンレス鋼線が大きくなります。
メカニズムについては、文献(リンク先参照)からの引用となりますが、以下のように
説明されています。
硬鋼線、ピアノ線やオイルテンパー線では、コイルばね外周側表層に、線軸方向に圧縮残留応力、
ばね内周側表層には引張残留応力が形成されます。
低温焼きなましにより、コイルばね外周側表層では、残留応力は圧縮状態から次第に開放されて
ゼロに近づくので線軸方向に伸び変形を起こし、内周側表層では、残留応力は引張応力状態から
次第に開放されてゼロに近づくため線軸方向に収縮する。
ばね用ステンレス鋼線では、コイリング時の残留応力の形成は、硬鋼線、ピアノ線やオイルテンパー線
と同様であるが、コイルばね外径側表層よりも内径側表層は相対的により大きく線軸方向に伸びると
考えるのが妥当とのことです。
文献において、材料の違いによるコイル径の変化の違いについては、材料の組成を含めて考察されて
いますので、詳細については、文献をご確認下さい。
しかしながら、今回の本題であるコイリング後から低温焼きなましまでの放置時間の差による
変化量の差異については、通常作業では、コイリング後に時間を置かず実施するため、長時間放置して
処理したことがなく、今回確認されたような現象を確認しておりません。
そのため、お力になることができません。申し訳ございません。
参考文献
コイルばねの形状と特性に及ぼす焼鈍条件