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おっしゃるように、コイルばねは螺旋形状であるため、線径の太さやピッチの関係でショット内径側に十分に当たらず、ショット効果が得られない、という事象は発生します。
そのため、ショットピーニング効果を必要とするコイルばねの場合、ショットが内径に届くように、
コイル間の空きを十分に確保した形状設計をする必要があります。
また、製造面では、ショットピーニング装置内でばね表面に十分にショットがあたるように対象のコイルばねに適した条件設定をする必要があります。
例えば、最適な撹拌方式や投射方式の装置の選定、装置の動作条件、ばねの投入量、
ショットの種類、ショットサイズ、投射速度、投射時間といった項目について最適な条件設定が必要です。
密着のコイルばねや空きの狭いコイルばねにショットピーニング処理をしても、内径側には部分的または不均一な処理となり、ショットピーニング効果は得られませんので、設計時点でショットピーニング効果は考慮せずに、耐久性を評価し形状設計をする必要があります。
コイリング前の線材に対してショットピーニング処理することは基本的にありません。
コイリング時やピッチ調整時などの残留応力が耐久性に影響するため、その後の工程で残留応力除去のための低温焼きなましを実施したり、材料によってはばねとしての強度を持たせるため、焼入れ・焼戻しや時効処理が必要となります。
これらの熱処理中にショットピーニングによって発生する圧縮残留応力が解放されてしまうため、
結果として、ショットピーニングによる効果が得られなくなります。