ご質問いただきありがとうございます。
ばね用に使用されるピアノ線とSK材の違いとしては、まずその断面形状にあります。
そのため用途も異なります。
ピアノ線は、文字通り線材ですので断面形状は、基本的に円形です。稀に角線材がありその場合は、
正方形または、板厚と板幅の差があまりない長方形断面になります。
用途としては、圧縮コイルばねや引張コイルばね、ねじりコイルばね、線細工ばねに使用されます。
SK材は、基本的に板材となり、断面形状は、板厚に対して板幅が大きな長方形断面となります。
用途としては、板ばねや皿ばね、ぜんまいばねに使用されるます。
材料の断面形状が異なるため、用途的に代替されることはほとんどありません。
規格の違いとして、ピアノ線はJIS G3522に3種類が規定され、ピアノ線用の材料としてJIS G3502に
18種類が規定されています。その中でも一般的なコイルばねに使用されるSWP-AであればSWRS82A、
SWP-BであればSWRS82Bを使用してピアノ線を製造することが一般的です。
SWRS82Aの成分:C(0.80~0.85)、Si(0.12~0.32)、Mn(0.30~0.60)、P(0.025以下)、S(0.025以下)、
Cu(0.020以下)
SWRS82Bの成分:C(0.80~0.85)、Si(0.12~0.32)、Mn(0.60~0.90)、P(0.025以下)、S(0.025以下)、
Cu(0.20以下)
ばね用のSK材は、JIS G4802の中にSK85-CSP、SK95-CSPの2種類が規定されていますが、
SK85-CSPをばね用によく使用します。
SK85-CSPの成分:C(0.80~0.90)、Si(0.35以下)、Mn(0.50以下)、P(0.030以下)、S(0.030以下)、
Cu(0.25以下)、Ni(0.25以下)、Cr(0.30以下)
上記のとおり、成分も異なります。その他にも材料の製造方法や管理基準、強度、ばね形状にした後の
熱処理方法など高炭素鋼ではありますが、様々な違いがあります。詳しくは上記記載のJIS規格を
ご確認ください。