まず、皿ばねの荷重が負荷される箇所と支点となる箇所についてです。
皿ばねの凸側を上、凹側を下として、凹側を定盤の上に置いたとします。
(弊社HPの技術・計算情報の中で、皿ばねの計算式のページの図1の
ような状態です。)
https://www.tokaibane.com/tech/disc_top_info.html
この場合、上から荷重が負荷されると、内径凸側の角が荷重の加わる箇所
になります。そして、外径凹側の角が定盤からの反力を受ける箇所が
支点になります。
(上記説明の図1でのⅠの位置が内径凸側の角、Ⅲの位置が外径凹側の角)
皿ばねの向きが上下逆になる場合は、内径凸側の角が支点、外径凹側の
角が荷重が負荷される箇所になります。
荷重が負荷される箇所と支点については、上記のとおりですが、
皿ばねは、圧縮時支点を基準に動くわけではありません。
皿ばねが圧縮される際には、皿ばね内部の円周長が変化しない中立点を
中心に回転するように変形します。
A4の紙を皿ばねの断面にみたてて、実際に皿ばねの動きを再現すると
以下のようになります。
図1のⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと記載されている皿ばねの断面のように紙を傾けて、
A4の紙をもって下さい。紙の各短辺が内径側と外径側にくるように
持ってください。
紙の傾きは保ったまま、紙の中心を両手の人差し指で、紙の表と裏から、
挟んで支持します。
荷重が負荷される時を再現するため、Ⅰにあたる部分の紙の角部が
下がるように、人差し指で支持している箇所を中心に回転させます。
動かしているときの内径凹側の角(Ⅱ)にあたる部分が、内径寸法となる
部分で、外径凸側の角(Ⅳ)にあたる部分が、外径寸法となる部分です。
内径凹側の角(Ⅱ)が外径側に移動(大きくなる)し、外径凸側の角(Ⅳ)が
内径側に移動(小さくなる)しているのがわかるでしょうか。
加えて、その動きを見てもらうとわかるように、荷重が負荷される角部と
定盤などと接触する角部も実際には動きます。
これらの動きは、目ではとらえにくいですが、実際に圧縮時の外径や
内径の寸法計測すると外径は小さく、内径は大きくなっています。
また、皿ばねの計算時に使用するアルメン・ラズロの近似式において、
回転中心となる径の位置の式が以下のとおり示されています。
do=(de-di)/lnα
α=de/di
do:回転中心の径、de:皿ばね外径、di:皿ばね内径
※板厚方向の位置は、板厚の中心
通常設計される皿ばねの動きは上記のとおりですが、まれに、
逆の動きをする瞬間があります。
それは皿ばねの傾斜角度が大きく、中立点がⅡの角より下の位置にあり、
Ⅲの角より上の位置にある場合です。
その場合は、圧縮されるとあるところまでは、内径が小さく、外径は
大きくなりますが、そこを過ぎると内径が大きく、外径は小さくなります。
これも上記の紙の動きで再現できますので、確認してみて下さい。