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インターネットでピアノ線(材質:SWP-A)を購入して圧縮ば・・・

キーワード
焼入れ
ピアノ線
焼戻し
熱処理
圧縮コイルばね
ばね
SWP-A
温度
時間
原因
自作
焼ならし
対処方法

【ご相談内容】 カネコヤスタカ

インターネットでピアノ線(材質:SWP-A)を購入して圧縮ばねを自作しました。
インターネットでは
「ピアノ線を丸棒の芯に巻き付けてばねを作ります。
そのままではばねとして使えないので熱処理(焼入れ・焼もどし・焼なまし・焼ならし)が必要。
ただ、素人がちゃんとした熱処理をするには温度や時間の管理が難しく出来ないので
ばねをコンロの火で熱して、水につけて急冷させる方法で対応する」との事でした。

見よう見まねで作成してみたのですがばねに数回、圧縮をかけると
圧縮をかける前のばねの長さの1/3ぐらいの長さになってしまいました。
元の長さから短くなってしまいましたので当然、使えないのですが
なぜ、元の長さに戻らなくなってしまったのでしょうか。
原因と対処方法を教えていただきたいです。よろしくお願いします。

【返答】 ばねっと君

ご質問いただきありがとうございます。
まず、ピアノ線に必要な熱処理は、低温焼なましとなります。そのため記載していただいた
熱処理の中のどれにも当てはまりません。近いワードで焼なましがありますが、温度が異なります。
低温焼なまし温度は、静的な使用条件(圧縮の頻度が少ない)の場合は200~250℃、静的な使用条件
(圧縮の頻度が多い)の場合は300~350℃となります。熱処理時間は、20~30分程度です。
冷却は、空冷(熱処理炉から取り出してそのまま冷めるまで放置)となります。

今回実施された処理は、記載された熱処理のうち、焼入れに近い処理となります。
もし、コンロで加熱された際に、ばねが赤くなるまで加熱されて水冷されたのであれば、
焼入れと同様の作業です。ばねが赤くなっているのであれば、温度は800℃程度になります。
鉄鋼材料なのでこの作業でも強度は出せますが、ピアノ線は、材料の時点でばねとしての
強度を有するように加工された材料になるので、焼入れをするとその強度が無駄になってしまいます。
若干話はそれますが、焼入れだけでは硬すぎるため、ばねとしては靭性をもたせるため、
焼入れの後、焼戻しを基本的には必要とします。

いかに低温焼なましをするかということですが、製造現場では温度の均一性や時間を管理された炉で
処理をするため容易に処理ができます。上記に記載した温度と時間を身近なもので確保するとなると、
以下の方法で実施すれば、その条件に近くなるかと思います。
最高温度が250~300℃まであるオーブン
1000W程度のトースター
フライヤー(揚げ物をするときの高温の油の温度)
※電子レンジは厳禁です。
いずれも、置く位置によって温度ムラがあったり、ON・OFF制御で温度の上下があると思いますので、
ベストな状態ではないかと思いますが、まだましな状況かと思います。
上記の処理で性能が担保できるかは不明ですので、自己責任でお願いします。

また、ばねを使用してみてへたったということですが、この件に関しては
熱処理不良ということも考えられますが、ばねの設計が適切だったか、
という問題もあります。
どこまでの圧縮であれば、もとの形状にもどるのかということについて、
応力評価をしてみて、その後ばねを作ってみてください。

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