【ご相談内容】 ばね初心者 2021/1/28(木) 9:29
素材がSWOSC-Vで 外径9.0mm 自由長99.9mmの圧縮ばねを製造してます。コイリングマシーンから
直接低温が出来るような機械で製造しております。この製品だけ真っすぐな製品にならず曲がりがある製品が多くなってしまいます。現在原因追及中なのですが、なかなか曲がりが減らず…もし原因であろう事が分かれば教えてください。
【返答】 ばねっと君 2021/1/28(木) 10:36
ご質問いただきありがとうございます。
頂いた情報だけですと、どういった状況(製造中or完成品or使用時 等)でのどういった曲がり
(全体が湾曲した曲がりorうねり 等)なのか分からない部分があるため、いくつか状況を
想定しての回答になります。ご了承ください。
また、弊社は少量生産のため芯金を使用した旋盤巻き方式での巻取りをしており、
コイリングピン方式に関しての実務上の知見はありませんので、その点もご了承ください。
発生状況→発生要因→発生する曲がり
・コイリング時の曲がり→座巻から有効巻にかけてのピッチ →立てた時の倒れや曲がり
→有効部のピッチ不同 →全体の曲がり、うねり
→コイルのずれ →傾斜した曲がり
・低温焼鈍し時の曲がり→炉内での置き方 →全体の曲がり、うねり
→処理中のコイル径と長さの変化の妨げ →全体の曲がり、うねり
・研磨時の曲がり →研磨面の平行度、長さ方向に対する直角度 →立てた時の倒れや曲がり
→砥石の切削抵抗によるコイルずれや変形 →立てた時の倒れや曲がり
・セッチングの曲がり →H/Dが大きいことで座屈し、変形やコイルずれ→全体の曲がり、うねり
→へたりによる変形 →全体の曲がり
・荷重試験時の曲がり →H/Dが大きいことで座屈し、変形やコイルずれ→全体の曲がり、うねり
→へたりによる変形 →全体の曲がり
・使用時の曲がり →H/Dが大きい、ガイドとの隙間が大きく座屈 →使用中の曲がり(変形)
・その他の曲がり →運搬時や搬送時、箱内の置き方やからみ →曲がり
弊社では、基本的に修正の工程があり、曲がりは修正しておりますが、
量産の場合は、おそらくそういった対応は難しいかとは思います。
上記の中には、注意や設備を修正すれば対処できるものもありますが、セッチングや荷重試験時の
へたりによる変形が要因だった場合は、修正ができなければ、対処は難しいかもしれません。
また、こういった対応は特殊かもしれませんが、曲がりの方向に規則性があるなら、
逆方向に先に曲げとけば、最終的に真っすぐになるといったこともあるかもしれません。
少しでもお役に立てればと思います。
【返答】 ばね初心者 2021/1/28(木) 19:08
ぜんまいバネについて質問させてください。
ぜんまいバネについて、全長を短くすればトルクUPすると聞いたのですが、正しいでしょうか。正しければその理由を教えて頂きたいです。
また、ほかに材料寸法でぜんまいバネのトルクUPとなる要因はありますでしょうか。
ご回答頂ければ幸いです。
【返答】 ばねっと君 2021/1/28(木) 19:33
ご質問ありがとうございます。
ご認識のとおりぜんまいばねの全長(展開長)を短くするとトルクはあがります。
理由としては、ゼンマイばねのばね定数の式は以下のとおりです。
k=(Ebt^3)/(12L)
k:ばね定数、E:縦弾性係数、b:板幅、t:板厚、L:全長
(弊社HPの技術・計算情報のゼンマイばねの計算式や計算例も合わせてご確認ください)
全長が、ばね定数の式の分母にあるため、例えば、全長以外の諸元が同じで、
回転角度も同じであれば、全長が短いほうが、ばね定数が大きいため、トルクがUPします。
その他の項目としては、分子に材料に起因する縦弾性係数、板幅、板厚の項目があるため、
この数値が大きくなれば、ばね定数が大きくなるため、トルクUPにつながります。
ただし、トルクがあがるということは、材料にかかる応力も高くなるため、
許容応力を超えないようにご注意下さい。応力の増加量を抑える、または増加させずに
トルクをUPさせるには板厚や板幅を変える方が効果的です。
(技術・計算情報 ゼンマイばね)
https://www.tokaibane.com/tech/spring_info.html#Section1
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