質問いただきありがとうございます。
いずれの鋼種も同じような強度するために熱処理によって、
調整することも可能ですが、材料サイズや用途に応じて、求められる
機械的特性のために熱処理条件を変えることもできるため、
適切な鋼種を選定することが必要です。
成分の違いとその違いによる鋼種の特徴、使用例について示します。
成分は、以下のとおりです。
SUP4:C0.90~1.10、Si0.15~0.35、Mn0.30~0.60、P0.035以下、S0.035以下、Cu0.35以下、Cr0.20以下
SUP9:C0.52~0.60、Si0.15~0.35、Mn0.65~0.95、P0.030以下、S0.030以下、Cu0.30以下、Cr0.65~0.95
SAE9254:C0.51~0.59、Si1.20~1.60、Mn0.60~0.80、P0.035以下、S0.040以下、Cu0.30以下、Cr0.60~0.80
※ばね鋼のP、Sは、受渡当事者間の協定で0.035以下でも可
※SAE9254は、SUP12相当材
成分ごとの違いをまとめると、以下のとおりです。
・SUP4は、SUP9とSAE9254に比べ、炭素量が多い
・SUP9とSAE9254は、SUP4に比べ、マンガンとクロムの量が多い
・SAE9254は、SUP4とSUP9に比べ、シリコン量が多い
SUP4は、炭素量の多さで焼入れ性を高め、強度を高くすることをねらっている。
ただし、炭素量が多いことで延性や靭性の面で不利に働いている。
合金成分が少ないので、SUP9やSAE9254よりは安価。
SUP9とSAE9254は、SUP4より炭素量は少ないが、マンガンとクロムを多くすることで、
焼入れ性を高め、強度を高くすることをねらっている。マンガンは、炭素に比べ延性や
靭性の低下に対する影響が少ない。
SUP12は、SUP4とSUP9よりシリコンが多いため、耐へたり性が高くなります。
SUP4は、規格からは除外されており、現在は入手不可となっています。
SUP9は、重ね板ばね、コイルばね、トーションバーなど広く使われています。
SAE9254は、自動車用懸架ばねがほとんどの用途になります。