ご質問ありがとうございます。
SUS304-CSP材は、炭素量が少ないため、焼入れによって強度を高めることはできません。
主に実施される熱処理は、低温焼きなましになります。
ご認識のとおり、低温焼きなましは、成形加工後の残留応力の除去が目的で実施されることが
多いです。加えて、圧延により強加工がなされた材料の機械的性質(弾性限、耐力、引張り強さ)の
改善も図ることもできます。
以下に低温焼きなましについてとSUS304-CSP-Hに低温焼きなましをしたことによる機械的
性質の変化に関する文献のリンクをはります。
(低温焼きなましについて)
http://www.jsse-web.jp/kandokoro/kan8.pdf
(SUS304-CSP-Hの低温焼きなましについて)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/trbane/2020/65/2020_7/_pdf
コストとの兼ね合いや寸法変化を嫌う精密なばねでは、低温焼きなましを
しない場合もあります。もちろんそういった製品は、母材の弾性限の範囲内で
設計され、ばねとしての性能が保証されることを検証された上でだとは思います。
よって、ご使用の製品でも使用条件によっては、低温焼きなましをしなくても
性能を満足する可能性はあるかもしれません。
しかし、今までしてきたことをしないというのは勇気のいることかと思います。
実際の部品で低温焼きなましの有無による性能試験をされて、その評価をもとに
判断すれば、誰しも納得できる結果が得られるかと思います。