第4話
社員が語る仕事と誇り
本社勤務から現地でのメンテナンス業務まで、あらゆる部署を経験してきた組立課の秦彰吾さん。入社10年目を迎えた秦さんに、仕事に対する想いを伺いました。
やる気を引き出す改善活動

ここ数年、時代の流れに乗って、この会社が進化していることを強く感じています。自動化が進むなかで最優先に掲げているのは、時間短縮。これまで、いろんな会社の5S 活動を⾒学させてもらう機会がありましたので、そこで学んだことを後輩たちにフィードバックし、どうやって時間短縮を可能にするのかを常に話し合っています。
自分が携わっている組立部門は、人間中心の⼯程です。組み立てる場所によってボルトの種類や⻑さが違うなど、部品や組立・組み付けがその都度変わるため、自動化が難しいと⾔われています。だからこそ、人材が減っても一定量の仕事をこなせるよう自分たちができる改善に取り組んでいます。
その背景にあるのが、数年前に導入された改善提案制度です。活動自体は昔からやっていますが、眞鍋社⻑によって制度化されました。提案したものは、管理職の投票で年間⼤賞が選ばれ、金一封が与えられるのですが、ポイントは、その改善が何パーセントの効果を生んだのか、数字がはじき出されること。その成果はちゃんと社員に還元されるので、我々のモチベーションアップに直結しています。この制度を導入してから、不要なもの、必要なものを⾒る目を持てるようになったと思いますね。みんな、無駄探しをしながら⼯場内を歩いています(笑)。

自分の仕事を感じる経験
私は入社後、本社勤務からメンテナンス作業まで幅広い部署を経験させてもらいました。なかでも貴重な機会となったのが、現地でのメンテナンス作業です。⼯場だと設備を使って作業をしますが、現地では人力。どこに何をかけるとか、どこでどういう⼯具を使うといいのかなど、自分の頭をフルに使って段取りを考えなければなりません。
しんどさはありますが、壊れたものを自社製作の部品ですぐに対応できるのも、8割の製品を内製化しているからこそ。メンテナンスはそんな眞鍋の強みを体現できます。また、自分たちが造っている機械が実際、どんな価値を生み出しているのか、⼯場だけではなかなか想像できませんが、現地でロープが巻きとられて動くところを⾒ると、こんな⼤きいものを動かすコアな機械を造っているんだ、と日頃の仕事につながります。⼯場では⾒えなかった景色が⾒えるんです。
そして、着岸出来なくなった船の上で修理をして甲板機が働きだした時は、⼤きな感動がありました。⼯場内に機械を動かす検査場はありますが、若手にも、実際の動きを自身の眼で⾒て、知って、感じてほしい。実際はそれを経験する機会が少ないので、自分の体験談をできる限り伝えるようにしています。

小さい頃からの夢
私はこの今治が地元です。小さい頃から船は身近な存在でした。造船に携わりたいとこの道に進んだのも自然の流れだったと思います。眞鍋がつくる船舶用甲板機械・荷役装置は、船が寄港する時になくてはならないもの。小さい時からフェリーに乗っては、船が着岸するときにその動きを⾒ていました。「こんな機械をつくれたら面白いだろうな」という子どもの頃からの夢を、今、ここで実現しています。
世界各国、物流の約9割は船でまかなわれていると⾔いますから、自分たちも世界の物流に一部、貢献していると感じています。それは我々の誇りであり、これからも、次の世代へ続いていくと信じています。(秦彰吾さん)

火花立ち上がる
眞鍋造機株式会社様
取材ご協力
眞鍋将之 社長
眞鍋哲夫 工場長
秦彰吾 様
取材
東海バネ工業 ばね探訪編集部(文/EP 松井 写真/EP 小川 )