ばね探訪 - 東海バネのばね達が活躍するモノづくりの現場をレポート

ばね探訪レポート

一覧へ

あんなこんなニュース

東海バネ工業株式会社

夢をかけた5人の創業物語 | 株式会社コスメック 様

第3話

【夢をかけぬけた5人の創業物語】株式会社コスメック様

1994年、コスメックではポルフ活動という工場改善プログラムを導入した。順調に会社が伸びてきた頃、
人数が増えるなか、何かしなくてはいけないということで、色々な活動を試みた。そんななか、ピタッとあったのが、このポルフだった。

コスメック流「工場改善プログラム」

ポルフ活動の導入
※ポルフ(PPORF)とは、Practical Program Of Revolutions in Factories の表意語であり「あらゆる企業の体質を抜本的に革新する具体的な進め方と、やさしい改善手法のこと」である。

3-1,2

1994年、コスメックではポルフ活動(※)という工場改善プログラムを導入した。
順調に会社が伸びてきた頃、
人数が増えるなか、何かしなくてはいけないということで、色々な活動を試みた。
そんななか、ピタッとあったのが、このポルフだった。
「ポルフの噂を聞きつけた会長が、セミナーに行ったところ、
これは良いとのことで導入してみたのです。
ポルフ活動をすることで、何がしたかったかというと、
20の活動アイテムがあり、それを経営目標にどうリンクさせるか、
ということさえできれば、経営目標をそのまま各ポルフ活動に直結することが
できるのです」(談:白川社長)
ポルフとは、
小集団活動のための活動ではなく、経営目標を達成するためのものなのである。

「例えば、今年の経営目標を、
開発受注売り上げ比率何パーセント、とした場合、
設計の、20番目のアイテムに取り込んでもらうと、
経営目標が達成できるという仕組みです。製造も同じです。
外に出るものを減らす、付加価値率何パーセント以上、
という経営目標をポルフの工程管理に取り込むと、
いままで外に出していたものをいかに中でこなすか、というのをやります。
ポルフというのは、大手企業M社を経験された方が開発されたルーツです。
ベースは工場なんです。製造部隊。
工場革新のためのプログラムを英語にするとポルフ。
コスメックでは、カスタマイズして営業も設計も総務もみな、取り入れているんです。
ポルフ病か?と言われることもあります(笑)」(白川社長)
具体的に説明しよう。
ポルフ活動で、リードタイムを短くする目標をたてる。
平均リードタイム2週間半を2日縮めようという経営目標に対して、
そのためには、どんなことをしたら実現できるのか、
熱処理炉をもたないといけないとか、
材料も標準材料を持とう、という具体論を展開する。
中間仕掛り量削減というのが、20のアイテムのなかにあるのだが、
これは、在庫を減らすことがプログラムの本来の目的。
それを、コスメック流では、設計部門にも適用している。
設計は営業から社内指示書が来る。
図面、部品情報をつくって、生産管理に渡さなければいけない。
もらったこのタイミングから出す、この間が設計の仕掛りと考える。
これには仕事の難易度があるため、定義づけして、A〜Eランクの層にわける。
「データをとったら、成績が明確に出てくるんです。
全平均は1日。最初は4日だったものが、今は0.9日。
結果、設計が3日稼いでくれたらリードタイムが縮まります。
これをやると、イレギュラーなものがわかるんです。
設計が3日かかってる、何があったのかと。重要案件を抱えてしまったとか。
部署の問題点がよくわかります」(上村取締役)
ポルフ活動は点数評価が原則。
専用のチェックシートをつくって、点数評価している。

ポルフ活動は机の中まで?

3-3

ポルフは、社内のあらゆるところで目に着くのだが、
特に驚くのがデスク回りだ。
社員たちの机の中は、見事に整理整頓されている 。
消しゴム、鉛筆1本から電卓まで置く場所が決まっており、
「とったら、戻す!」が徹底されている。
黒のボールペン2本持っていると違反だ。
「昔は、机をあけるとボールペンがぎょうさんあって、
つかえんもん放ればいいのに、また、戻すんですよね。
それは、置いているのも無駄やし、探すのも無駄ですね。
パンチとか、ホッチキッスとかは、一人一つ持っていたんですが、
今は、ところどころに1個しか置いていない。
使って戻さんと、チェックされるんです」(白川社長)

この効果は『しつけ』であるという。
言われたことをキチッとやる。
これが仕事にもつながってくるのだろう。
設計部の机は、ポルフトレーと呼ばれるものがあり、
それ一つだけと決まっている。
退社の際に、すべての書類をトレーに置いて帰る。
机の上にはそれしかない。
「それをやるまでは、書類のなかで仕事をしていたようなものでしたよ」
中間棚卸しの概念が設計に適用されているという時点で、
現場のものづくりと同じになっている。
どこでも現場というのは、工具の置き場が決まっているが、事務所はタブーだ。
「設計部隊は、クリエイティブな場所やから、
そんなことに束縛されたらアカンというのが普通ですわ。
発想が豊かになりませんよ、と私も最初は思いました。
ところが、やってみると、全く関係がなかったです」と、白川社長は語る。

3-4

こうしたポルフ活動を進めるにあたって難しいのは、
これまでのやり方にどっぷりつかっている人たちの意識を、変えることである。
そこは、若手が多く活躍するコスメック、僅か数年で定着したという。
今では、ほとんどの社員が抵抗感を持っていない。
このポルフ活動が、コスメックにとって、経営目標だけではなく、
企業文化として根付いていることは、間違いないようである。

「お客様は神さま」が、徹底されている

企業文化といえば、顧客第一主義に対するDNAも、脈々と受け継がれている。
「ものづくりは、どうしても不具合がででしまう。
自分たちが、どんなに自信を持って出しても、
ものは生き物だから、何か問題が起きてしまう。
それがお客さんの理由か、我々の理由かは別として。
とにかく問題が起きたら、すぐに対応することが大事です」(談:白川社長)

3-5

「うちの現場は、課長がキャプテンなんです。
部下がミスしたら、自分が徹夜してでもつくり直してお客さんに迷惑をかけない。
3日後に出荷が迫っていても、
機械がミスしたら間に合わないのに、皆でやりくりする。
お客さまは神様というのがすり込まれている。
遺伝子なんでしょうね」(上村取締役)

3-6

そのキャプテンを目指し、現場の人間はがんばる。
DNAは、ちゃんと伝承されている。

最後に白川社長は、こう語る。
創業精神を忘れず、組織としては成長しなくてはならない。
このバランスが、一番、苦しかった。
苦楽をともにしたい、という想いからスタートしたが、
楽をともにすることは簡単だが、
人が増えると、苦をともにするのは、なかなかできない。
100人前後になった時、フランクな会合で良く語り合っていた。
山椒小粒でいくのか、規模を追いかけるのか。
そのとき、拡大しない宣言も出なかったし、
拡大しようという宣言もでなかった。
大きなチャンスが訪れたとき、
お客さんからのニーズに対応するのが企業としての責任と、自然に受け止めた。

量ではなく、質でキャパを広げようとすると、
ある程度の規模が必要になってくる。
それを、皆、なんとなく肌身で感じていた。
如何せん、それを担うだけの経験が我々にはない。身についていない。
そこそこの規模でやっている、良い姿を知っているかどうかだ。
あるべき姿がイメージできるかできないか、これが大事である。

創業時の夢は果たせたか?
今でも追いかけている。夢も成長しますから。

3-7

Harmony in Innovation~心ひとつ、前へ。~

KOSMEK(株式会社コスメック)

http://www.kosmek.co.jp/index.html

〒651-2241 神戸市西区室谷2丁目1番5号
TEL:078-991-5115  FAX:078-991-8787

取材協力 代表取締役社長 白川務 様
取締役 製造部長 上村誠 様
取締役 設計部長 西本敏 直 様
営業部企画リーダー 佐藤直人 様