| イームル工業株式会社 様

第2話

未来へのパーパス、時代は巡り志は再び原点へ

会社の存在意義を知る

80年前、創業者が掲げた「電気が農村を豊かにする未来」は、今、形を変えて「持続可能な循環 型社会」という⼤きな潮流の中にあります。当時と今では、取り巻く環境も技術も、そして⽬的も⼤きく変化していますが、地球環境を守りながら地域の⾃⽴を⽬指す本質は、「農村の近代化と⾃⽴」という創業時の志と、深く重なり合っていると思います。

地球環境が問われる今、SDGsを踏まえ、太陽光、⾵⼒ともに⽔⼒は、「再エネ*」の源として重要性が求められています。だからこそ、創業期と同じような情熱を持って⾃律的に働くことが⼤切です。どんな会社にも存在意義というのがありますから、⾃分の会社を深く知り、理解すれば、働く上で⼤きな意味を持ちます。

「何故、この会社が存在しているのか」

「何故、世の中から求められているのか」

それを探すために、みんながここに集まって来ているわけです。イームルは来年、創業80周年を迎えます。だからこそ、その問いを私たちの指針として掲げたいと思っています。

「カタチ」から「人」へ  
イームルの深みがそこにある 

私は以前、明電舎側で⽔⼒発電に取り組んでいた時から、イームルと連携しながら仕事をしていました。明電舎のパートナーとして⾒ていた頃は、優れた「⽔⾞」を作る唯⼀無⼆の技術集団でした。しかし、実際に組織の内側に⾝を置き、設計、製造、検査といったあらゆる⼯程に携わる仲間たちと向き合うなかで、そのイメージは「形」から「⼈」に⼤きく変わりました。「外から⾒ていたイームル」と「中で知るイームル」のギャップこそが本当の価値であり、深みなのだと 感じています。

そして、「イームルらしさ」を社員⼀⼈ひとりが無意識のうちに共有し、体現している姿も印象的でした。⼤⼿企業と同様の仕組みで動こうとしても、お客様が私たちに求めている価値は本質的に異なります。私たちが対峙すべきは、標準化されたマニュアルでは救いきれない、現場ごとの切実な課題です。その問題解決に対するきめ細やかな対応を切望されるお客様と、私たちの提供する価値が結びついていること。この「期待と価値の合致」こそが、他社の追随を許さない真の競争⼒であると確信しています。

これから、やりたいこと

第1話でお話したように、イームルの歴史は単なる「機械づくり」ではなく、地域の⾃然エネルギー を「地域の価値」へと変えてきた挑戦の軌跡です。私たちは、⼭を歩き回り、⽔の声を聞いて築き上げた先⼈の精神を、100年に向けて進化させていかなければなりません。

その強みは、技術も知恵も80年続けている会社であることと、お客様の要望や設置場所の環境 (⽔量・落差)に応じた⼀つひとつ異なる⽔⾞の設計・製造を⼀貫して⾏えるところにあります。 現在、⽔を受けて回る⽔⾞のはねの形で⽔のエネルギーをどれだけ効率良く回転エネルギーに変 えられるか。明電舎の協⼒もあってこの解析に⼒を⼊れ、同じ⽔の量でも出⼒が上がることを⽬ 指しています。

メーカーですからものづくりが背⾻です。その背⾻をもっと強化していきたい。そのうえで新しいことにもチャレンジをしたいですね。3Dプリンターを使った開発とか、尖った挑戦をしていきたいと思っています。

 ⽔⼒というのは安定して電気を起こすことができ、なおかつ国内で全てが成⽴します。国だけではなく、地産地消につながるのです。理想は、「うちの電気は⽔⼒」といったような、多くの⼈がエネルギーを意識しながら使う時代がくること。そういうエネルギーをしっかり⽀える会社に育てていきたいと思っています。

100年の⾻格に、最新知能を宿す

戦後の動乱期、イームルが全国に建設した発電所は、すでに更新期を迎えています。先⼈たちが泥まみれになって全国の⼭々に築いた地域の価値を、負の遺産にしないように。第1話でも触れたように、修繕の仕事で技術の灯を絶やすことなく残してきました。それは単なる機械の修理ではなく、精神までも次世代に継承してきたという意味が込められています。

 ⼟⽊構造物や丈夫な⽔⾞の⾻格、設備はそのまま継承し、最新のデジタル技術という新しい命を吹き込み、次世代へ⼿渡していく。この継承と進化が、今の私たちが取り組むべき使命です。「⾃分たちの発電所が、最新技術で元気を取り戻した」と、地域の⽅々が思える未来を創っていきたい。この挑戦こそが、イームルが掲げる「進歩」であり、私たちが果たすべき未来への責任だと思っています。

(語り:増⼦ 利健社⻑)

<補足説明> * 再エネとは、再生可能エネルギーの略。地球環境に対して負荷の少ない自然界のエネルギーである

(第3話:「40年で見つけた「人とのつながり」という宝物」に続く)

第2話 未来へのパーパス、時代は巡り志は再び原点へ

イームル工業株式会社様
取材ご協力

増子利健社長

取材

東海バネ工業 ばね探訪編集部(文/EP 松井 写真/EP 小川 )