ばね探訪 - 東海バネのばね達が活躍するモノづくりの現場をレポート

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東海バネ工業株式会社

女性活躍の新時代 | Moog China 様

第1話

お客様探訪・特別編                      女性が輝く豊かな土壌 女性活躍の新時代

コロナ禍で女性リーダーの迅速な決断と対応が話題を集めた2020年。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相など
言葉の力や、人の琴線に触れるコミュニケーションに、優しさと強さが感じられました。
まさに、新世代リーダーの台頭です。
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経済界を見渡しても、世界で活躍できる女性を、と企業は人材教育に力が入ります。
「結婚や出産でライフスタイルが変化しても、働き続けたい」
そう、考えている女性は多く存在するでしょう。
女性が活躍できる社会の実現にギャップが生じる日本では
働く女性への理解はまだまだ低く、世界から遅れをとっていますが
一足先を行くお隣の国、中国では
高いキャリア意識が若い世代の女性に広がっているようです。
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今号は、モーションコントロール分野において世界的企業であるMoog(本社米国)
その中国法人であるMoog Chinaで活躍する2人の女性にインタビューをしました。
子育てしながら活躍するFormica Zhongさんには、女性が働く環境について
サプライチェーンのマネージャであるNicole Liangさんには
女性リーダーとしての生き方を語ってもらいました。
責任の重さに屈せず女性らしい芯の通った姿勢は
彼女たちの仕事への向き合い方に現れています。
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活躍する女性を育てる上海ムーグの環境とは?

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Moog China(以下ムーグ)を一言で表現すると、私たち女性が家庭と仕事を両立しながら働ける職場である、ということです。今年で入社15年目、現在は購買部で商品の受注管理や、商品の輸送、輸入の手配などを担っています。子育てをしながら働く女性が多く在籍しているので、会社からのサポートはとても重要です。例えば、子どもの急な発熱や、預けるところがないといった時でも、気兼ねすることなく休暇をとれる体制が整備されています。
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私がムーグに入ったのは9年前、大学で機械工学を専攻していたことから、その専門性を活かしたいと志望しました。当時からムーグは業界トップクラスで、誇りを持てる企業だと感じていましたから。最初に任されたのは一つのプロジェクトのマネージャで、その後別の大きなプロジェクトのマネージャを経験し、現在、サプライチェーンのマネージャに就いています。会社は私を信頼し、私の能力が発揮できる機会を与えてくれます。例えば、着手している仕事と関係する専門部署のトレーニングに行かせてもらったり、私も子育てをしながら働いているので何か困難がある時、すぐに相談に乗ってもらえます。仲間と協力して仕事ができる環境が、ここにはあるのです。

子育てしながら、14年間も仕事を続けられてきた秘訣は?

それは2つの要素があります。一つは、会社は私たちの仕事量を調整してくれること。もう一つは、良好な人間関係。上司や同僚が常に手を差し伸べてくれるので、無理なく働くことができ、様々なイベントを通して人とつながることもできます。私は会社に入って多くの友達ができました。仕事の関係を超えて、絆を深めた真の友人ができたことは、私にとってほかでは得られない宝です。サポートという点では、両親や夫も私の仕事を支持してくれていて、この点でも恵まれています。
会社には、母乳を与える場所や、絞った母乳を保管する冷蔵庫もあります。仕事が終わったあと、家に戻りその母乳をすぐ子どもに与えることができるんです。家事の仕事もある私たちがリラックスできるよう、軽い運動できるスポーツジムもあり、設備面に関する環境はとても充実しています。子育てしながら働く母親にとっての困りごとを、解決してくれる会社の制度的な面と、周囲が働く母親を応援してくれるという精神的な面、この支えが、14年間、仕事を続けてこられた理由だと思っています。
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リーダーという立場での苦難や学びとは?

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ムーグは女性管理職がとても多いですね。財務部門、人事部、営業、機械、電子機械、各プロジェクトチームで、女性のエンジニア、管理職が活躍しています。性別や民族、宗教など全く関係なく、平等に昇級のチャンスを与える、これがムーグの基本方針です。私にとって、このことが会社に入って一番良かったことです。
マネージャの経験を通して学んだことは、まず、自分が変わること。アジアの人たちはお互い、ストレートにものを言い合ったりしますが、マネージャの立場で部下に何か意見をしたり、指示を出す時は逆効果なんです。自分の言い方を変えることで、相手がものを言いやすい環境をつくったり、相手の話しに耳を傾けたり。随分、苦労しましたが、それで雰囲気が一変しました。私たち同僚の間でも、定期的なお互いの意見交換は欠かせません。一つのチームとしても、会社の組織としても、自由に意見を言い合える場づくりは必要不可欠だと思います。
意欲ある人がいきいきと働ける環境にどう変えていくのか。ムーグには、上に対して様々な改善を求める風土もあります。以前、当社で用意している昼食の評判が悪く、改善してほしいという声が社員から寄せられたことがありました。改善チームが立ち上がって私もそのメンバーとなり、食事を提供してくれている会社とともに、「美味しい」と言ってもらえる食事に知恵を絞りました。その結果、現在、この昼食は大好評。会社は、通常業務だけではなく、社員の日常にも関心を寄せたり、配慮するべきだと私は思います。小さな一歩でも、踏み出せば、やがて大きな変化になりますね。

おふたりの将来への夢は?

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私には2つの夢があります。 一つは、仕事で今よりもっと上にあがりたい。昇進への意欲を持っています。そして、2人の子どもの良い母親になること。私は、子育てをしながら、キャリアウーマンとして生きたいのです。そのために、会社で好成績を上げることが私のモットー。仕事をしながら多くを学び進歩できることに、とても満足しています。これが、私のモチベーションですね。
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ムーグは、私が夢を実現できる会社です。サプライチェーンの分野についてもっと広く、深く知識を身につけたい。専門家レベルになることが、私の夢です。次世代の女性リーダーにアドバイスするとすれば、「一生懸命やる」という一言に尽きます。ちょっとした困難にぶつかっても、挫けず、自分が正しいと思うことを、突き進んでやり遂げる。より多くの女性が、新たなキャリアチャレンジとリーダーとしての場に向き合う機会があることを願っています。

周囲の「理解と納得」が大切
女性リーダーの共感力は、優しさと強さのカタチ

それぞれの立場で、Nicoleさん、Formicaさんに話を伺いました。取材を通して、あらためて女性の活躍について考えてみると、制度を整えることと同時に、周囲からの「理解と納得」がいかに大事であるかがわかります。「女性の活躍は社会にとって、会社にとって必要。だから応援しよう」そう、誰もが心の底から思う風土。それは、制度や設備を整えるような、目に見えるカタチがないだけに簡単ではありません。でも、そうしたなかで仕事をされているからこそ、輝けるのだと感じました。

女性リーダーに共通しているのは際立ったコミュニケーション力と言われています。相手の気持ちを察し、その痛みを感じる想像力を持って寄り添い、励ますといった共感力。これをNicoleさんの言葉から感じました。家庭で考えてみても、何かを打ち明けたり、話しを聞いてほしいとき父親ではなく、母親の存在が大きいですね。女性リーダーには、そんな母親ならではの優しさと、強さがあるのかもしれません。

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取材を終えて

今号のお客様探訪は、コロナ禍のなか初のリモート取材。「女性の活躍」という新たな切り口に加え、当日は、当社のオンライン工場見学も体験していただくといった、リモートだからこそできたことも多くありました。そして、当社も女性が多く、子育てしながらのお母さんも活躍しており、この取材に注目していた編集チームの女性たち。お二人のインタビューを通して、子育ても、仕事も、すべてにおいて迷いがないという点に感銘した次第です。ありがとうございました。(西・丸・田中・川口)

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Moog China訪問時、お世話になった
工場長のJhon Weiさん(左)

女性が輝く豊かな土壌~女性活躍の新時代~

Moog China

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取材ご協力

Moog China
Nicole Liang様
Formica Zhong様
通訳:T’Sネットワーク 李 新丹さん
上海写真提供:吉川英薫マネージャ

取材

東海バネ工業 ばね探訪編集部(文/EP 松井 )