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東海バネ工業株式会社

舶用エンジンカム世界シェア60%、巨大エンジンのインジェクターを作り出す | 株式会社ショウエイ 様

第3話

【世界の真ん中はここだ!ショウエイのセンシティブチャレンジ】株式会社ショウエイ様

競争相手は国内ではない。世界、ヨーロッパだ舶用エンジンカムで世界から認められているショウエイには、
月に1度から2度、スイスの顧客が工場を覗きにやって来る。取引先をみても、フィンランド、イギリス、スウェーデン、ドイツのヨーロッパ圏と、中国、韓国といったアジア圏に強い。では、ショウエイの強みとは、どこにあるのだろうか。

成長ー舶用エンジンカムで世界シェァ60%

競争相手は国内ではない。世界、ヨーロッパだ
舶用エンジンカムで世界から認められているショウエイには、
月に1度から2度、スイスの顧客が工場を覗きにやって来る。
取引先をみても、
フィンランド、イギリス、スウェーデン、ドイツのヨーロッパ圏と、
中国、韓国といったアジア圏に強い。
では、ショウエイの強みとは、どこにあるのだろうか。

舶用エンジンカムの生命線は精度。
寸法精度、強度、耐久力、面の平滑度について高度なレベルが求められるのだが、
ショウエイは自社の総合力で、そのレベルに見事に応えている。
舶用エンジン用カムは、約20年以上という長期間に渡り、
強大な力の伝達運動を行うことから、
寸法精度、耐久性がかなり重要になってくるという。
少しのくるいも許されない。
そこは、ショウエイの長年のカム製造の経験から、
材料の選定と熱処理、高い精度の機械加工能力に強みを持ち、
特に表面の研磨技術に関しては、高い評価を得ている。
さらに、ショウエイで活躍する女性の感性は、他社にはない競争力となっている。

世界的な船舶製造拠点といえば、
日本、中国、韓国が代表的で、80%以上の船舶を進水させている。
その中で、世界シェァ60%を占めるショウエイのカムは、
そのレベルの高さを十分に証明している。

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最近では、ショウエイを中心とした環境プロジェクトも始させた。
近年、環境保全の観点から、
舶用ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるNOx等大気汚染物質に対する低減ニーズが高まっている。
その環境対策として、燃焼効率の高いディーゼルエンジンの燃料噴射装置への期待が強いのだが、
これには高い技術水準が要求される。
そこで、切削加工の(株)愛康、表面処理の(株)谷口金属熱処理工業所、そしてショウエイの3社が連携体となって、
舶用燃料噴射制御装置を技能開発。
コモンレール型・ディーゼルエンジンの大手である
スイスのバルチラ社の認定を受けたアジア地域における唯一のサプライヤーを目指す。

現在、社員97名、年商約23億円。
組み立て工場、機械工場、熱処理工場を所有し、
納品先は国内6割、国外4割。
近い将来、50%まで持っていきたいと、辻井社長は語る。

競争営業しなくても、強い会社にしたい

ショウエイのこれからのコンセプトは、
「日本のメーカーではなく、ヨーロッパの一流サプライヤーに負けない工場作り」と言い切る。

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「日本はものづくり大国とっても、
まだまだ、ヨーロッパには負けています。
うちは海外のお客さんが多いですから、その方が見られて納得してもらうものづくりをしなくてはいけない。
そのとき、日本のものづくりの水準の高さと、日本の女性の感性を世界に訴えたいのです。
男性同様、日本の女性の感性の高さを前へ前へ出していきます。」

これだけ精度の高いものづくりができる国は他にはない。
これを世界へ発信しないと、すぐに中国だ、韓国だ、ベトナムなどコスト競争に走ってしまう。
日本のアイデンティティー、日本人の固有の感性を、
ものづくりを通して世界に訴えていくことを辻井社長は常に考えている。

「営業に行かんでもええようなものづくりをしたいですね。
そのために、どういう戦略を練ったらいいかを考える。
当然、自社の弱み、強みを理解していないといけないですね。
海外支店を持っていませんから 、 ローケーションの強み、弱みもある」

徹底議論で生まれるイノベーション

そうした競争力のあるものづくりをするためには、社員のマインドをかえていかなくてはならない。
3年前から、ショウエイでは、3代目に向けてのスキーム創りが始まった。

「この地域のなかで採用した30名の社員を中心に、
部長が1ヶ月に5回くらいフリートーキングをやるんです。
年齢は30代前半くらい。
どうやったら、豊かになれるねん、どうやったら年収あがるねん、
そのためには、どうしたらよいのか、
こうせなあかん、あーせなあかん、といった議論を続けているんです」

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これはどんな意味があるのだろうか。
ホンダの創業者である本多宗一郎は、
「哲学なき技術は凶器」と言い、技術のまえにモノの考え方が重要だと説いた。
そのなかで生まれたホンダ式ワイガヤは、
「ホンダは何のために存在するのか」といった正解のないことを三日三晩議論するという。
それで何が生まれるのかーー
長い討議をすることで、生き方や、顧客の時代価値、
企業が目指すことが本質論として理解され、
イノベーションが生まれるのである。

他社ができない製品をづくりをやろうと思ったら、
まず、社員の意識をかえることが先決だ。
人材教育というのは、
人ができないスキル、技量を育てることで、
それをしなければ、人がやれない製品はできない。

「 自分たちが豊かになるためには、他社と違うことをやる。
会社にいてたらボーナスもらえるとか、給料があがるとかではない。
自分たちががんばった成果として、給料があがる。このことがしっかりわからんと、人間は育たない」

会社の最大の武器は「人材」

振り返ってみると、辻井社長は長い闘いをやってきた。
多くの経営者がV字回復を至上命題に、
リストラによる人件費削減で評価を受けるなか、
人間づくり、他社に負けないものづくり、価値づくりを徹底的した。

「苦しい時代、本社工場の2階に私の机があったのですが、
その前に大きな鏡がありましてねぇ。
資金繰りに困ったとき、顔色変わってますから、
下に降りるとき、鏡をみてニコッと笑うんです。
自分の顔をかえてくれる鏡だったんです。
難しい顔をしていたら、社員が萎縮するんです。
でも、顔をつくっても、社員は良くわかるんですよね。
結果的に、経営者ゆうのは世間に鍛えられるより先に、社員に鍛えられる。
一番良く知ってますわ。絶対に社員はごまかせません」

どん底から22年間、明るい将来を心に描き、
社員の幸せだけを考えてこれたのも、
会社を辞めていった人間に対する「意地」と、残ってくれた仲間に対する「責任」。
こうした逆境が、辻井社長を強くしていったのではないだろうか。
そして地元でもヤンチャだった彼らは、
現在、工場長として世界を相手に大活躍、地域からも信頼される存在となっている。

トップに必要なことは夢やビジョンだけではない。
社員の幸せを守る経営者の姿勢こそ、いい会社の証である。

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―船舶用エンジンカム世界シェア№1―

ショウエイ

〒707-0412 岡山県美作市古町701-1
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取材協力 代表取締役 辻井説三 様