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東海バネ工業株式会社

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2015年11月5日

第6回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞受賞!

2015112日 「日本の社会基盤を支える平均ロット5個特化型の大型コイルバネ製造ライン開発」と言う案件名で、当社の技術開発グループ・リーダー石塚、コイルバネ生産部門マネージャー坪口、熱間コイルバネグループ・リーダー岡森、生産技術グループ・リーダー小谷の4名が、「第6回ものづくり日本大賞 製造・生産プロセス部門 経済産業大臣賞」を頂戴しました。

ものづくり日本大賞は、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材を顕彰するもので、本賞は、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省が連携して平成17年より隔年開催されており、今回で6回目を迎えます。(経済産業省ホームページより抜粋)

受賞内容は、世界最大級の大型コイルバネなど、一から設計が必要な特殊品専門で、尚且つ製造業の常識を覆す平均製造ロット5個の極少ロットのみに特化した大型コイルバネ製造ラインを、日本固有の手づくり技と最新鋭設備とを融合して平均年齢34.6歳による製造体制を実現し、極小ロットを必要とするエネルギーやインフラ整備などの社会基盤に、将来にわたっても安定的に大型コイルバネを供給できるようにした事が、ご評価されての受賞となりました。

平均ロット5個の大型コイルバネ製造は、最大長さ15mの質量800kgの材料を約900℃に加熱して形状を作る事が必要ですが、極少ロットがゆえに機械化出来ず、非常に危険な作業を伴っておりました。したがって、これまでの製造はベテラン職人に頼るところが多くありましたが、その高齢化対策も必要な状況でした。そこで、大型バネの加熱や高温コイル成形など、職人技をデーター化して機械を制御・稼動させる技術を確立して、これらの課題を解決したのです。  その内容は、「熟練技からデーター制御へ転換する為の設備開発」、「混合加熱脱却で安定的な高品質の実現」、「高温放熱と危険源の極小化」を重点ポイントとして、
①1本ずつ電磁誘導加熱装置で瞬間的に加熱しながら、長手方向へ材料を送ると共に、全長15mの保温炉へ自動投入するシステムを開発し、材料加熱・橋渡し・コイル形状成形を連続的に行える様にした。これにより最適加熱条件を寸法ごとにデーター制御する為、加熱品質の飛躍的向上と高温放熱と危険源の極小化を実現した。

②コイル形状成形時の材料を芯金に巻付ける動作に、金属切削用大型CNC旋盤の切削ピッチ送り機能を活用。また、その旋盤機械自体に旋回する機能を付加して、巻付け開始と終了時の材料角度コントロールを正確に行える様にした。ただCNCは6軸を同時に制御する必要が生じたが、制御プログラムの作成とインプットを一般的な表計算ソフトで行える様にし、極少ロットであっても従来とほぼ同様な段取りですむ様にした。これによりコイル成形のデーター制御と危険作業の極小化を実現した。 ③コイル座面のガスカットを、本来は材料切断に使用する帯鋸盤による切断に切り替えた。これにより局部的過熱懸念や危険作業を排除すると共に、数値で切断コントロール出来るものとした。

これらによって、安全な作業環境の実現はいうまでもなく、従来よりも優れた高品質や木目細かいコイリング制御を可能として、大型コイルバネ形状の高精度化を実現しました。また、これらの高品質・高精度のコイル形状成形技術は、耐久信頼性の向上を図ると共に、コイルバネが宿命的に持つ高精度作動に悪影響を与えるスラスト変位と荷重に対して、それら影響の極小化コントロールも可能としました。さらに、暗黙値優先作業を平均年齢34.6歳が行える体制の構築は、将来にわたって高品質な大型コイルバネを、お客様へ安定的に供給出来る価値につなげることが出来ました。

これからも私たちは大型コイルバネのみならず、高精度と高品質、そして安心してご使用頂けるあらゆる種類のバネをお届けしてまいります。
極少ロットを必要とする全てのお客様のお役に立つために・・・。

 

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