単品生産の道
創業時は先発のばねメーカーが多数存在。数量が多くまとまった案件はなかなか来ない。「まともにやりおうてたってアカン。吹き飛ばされずに、こっちの存在を知ってもらうようにせなアカン。」先発のバネメーカーが避けて通るような、1ロット1個、2個のばね屋の道。それを選ぶしかなかったのだ。
単品のばねを造るのは、
機械ではなく、人。
腕の確かな職人を揃えなければ成り立たない。依頼件数が増えれば増えるだけ職人もいる。選ぶしかなかった道は、やはり厳しいものだった。「創業者の先代社長は、熱間バネの腕のいい職人がいると聞くと、その人に東海バネに入って欲しいために自分が住んでる家まで提供したというエピソードがあるくらいや」「人もモノも金も、どうにかして集めてこんと成り立てへん。その時の先代社長の命がけの苦労は、とても一言では表現できへん」
こうして、単品製造に特化した東海バネの根幹ができていった。この経験と思いが、今の東海バネを築く礎となっている。